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経営者は、正の純現在価値を有するプロジェクトに投資することによって株主の最善の利益を図ることができると説明した。しかし、これはプリンシパル-エージェント問題を思い出させる。株主(依頼人)は、経営陣(彼らの代理人)がただ自らの利益のみを図ることのないことを、どうすれば確実にできるだろうか。株主は、経営者が自分自身の利益ではなくて株主の利益を追求しているかどうかをチェックするために経営者を見張りながら暮らすことはできない。しかし、優れたコーポレート・ガバナンスの制度は、株主の利害と経営者の心が近いことを確保するのに役立つ仕組みとなっている。

会社の取締役会は株主によって選出され、株主を代表することになっている。取締役会は、常に現職の経営陣を擁護する受身の「引き立て役」として描写されることもある。しかし、会社の業績が低下し始め、経営陣が信頼できる再建計画を提示しないときには、取締役会は行動する。最近では、ボーイングやイーストマン・コダック、フォード・モーター、ホリンガー・インターナショナルおよびランズエンドの最高経営責任者は皆彼らの会社の収益性が悪化し、新しい戦略の必要性が明確になったときに身を引くことも強いられた。


もし、株主が会社の業績が悪く、また、経営陣に任務を全うさせるのに取締役会が十分に積極的でないと信じるなら、次の投票で取締役会の入れ替えを試みることができる。それが成功すれば、新しい取締役会は新しい経営陣を任命するであろう。しかし、新しい取締役会を選出するこのような試みは高くつき、また、成功することも稀である。このため、不満分子は、通常は立ち上がって戦うのではなく、代わりに株主を売るのである。

売りは、しかしながら、強力なメッセージを送ることができる。十分な株主が脱出するなら株価は暴落する。これは、最高経営幹部の評判と報酬に打撃を与える。最高経営者の報酬の一部は会社の利益に結びついたボーナス、あるいは、株価が上昇すれば利益をもたらすが、株価が決められた最低価格より下落するなら無価値となるストックオプションからなっている。これが、利益と株価を上昇させるよう経営者を動機付けているのである。

経営者や取締役が価値を最大化しないのであれば、常に乗っ取りの脅威がある。怠慢な経営あるいは誤った方針のために会社の株価が下がるほど、他の会社あるいは投資家のグループが過半数の株式を買い付けることが容易になる。旧経営陣は外に放り出され、彼らの地位は会社の価値を実現するために必要な変更を行う用意のある新たなチームにより取って替わられる。

こうした仕組みにより米国の主要な会社のトップにいる経営者が怠け者であったり、あるいは、株主の利益に気を配らなかったりすることはほとんどないことが確保されている。それどころか、業績を上げることへの圧力は強烈なものとなりえる。
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