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このブログでは、企業の財務上の目的に焦点を当てた。企業は、正の純現在価値を持つすべてのプロジェクトを採用し、負の純現在価値を持つプロジェクトを却下することで、株主に最大の貢献ができる。プロジェクトの純現在価値は、プロジェクトによって生み出される富を測るものである。

純現在価値を求めるためには、まず、現在価値を計算する。これは、将来のキャッシュフローを適切な率rで割り引けばよい。rは、通常、割引率、ハードルレートあるいは資本の機会費用と呼ばれる。

現在価値(PV)=C1/1+r

純現在価値は、現在価値に直ちに生じるキャッシュフローを加えたものである。

純現在価値(NPV)=C0+C1/1+r

直ちに生じるキャッシュフローが投資であるなら、すなわち、それが現金の流出であれば、C0は負の値であることを覚えておこう。

割引率は、資本市場における収益率によって決定される。将来のキャッシュフローが絶対に安全であれば、割引率は米国債のような安全な証券の金利である。将来のキャッシュフローが不確実であるのなら、期待キャッシュフローは同等のリスクを有する証券が提供する期待収益率で割り引かれるべきである。我々は、リスクと資本コストについてさらに検討する。

キャシュフローは2つの単純な理由により割り引かれる。(1)今日の1ドルは明日の1ドルより価値がある、そして(2)安全なドルはリスクのあるドルより価値が大きい、からである。PVやNPVの公式は、これらの考え方の数値的表現である。資本市場は、安全な将来キャッシュフローとリスクについてどれだけ割り引くかを決定するために資本市場における収益率に目を向けるのである。資産の現在価値を計算することにより、人々がもし資本市場に投資するという選択肢を有するなら、その資産に対していくら支払うであろうかを推計していることになる。

純現在価値ルールは、会社の所有と経営の効率的な分離を可能とする。正の純現在価値を有する資産にのみ投資する経営者が、すべての株主にとって、その富やリスク回避度、あるいは、短期投資と長期投資への選考の違いにかかわらず、最善の利益をもたらす。資本市場によって、この分離が可能になる。個々の株主は資本市場を使って、自分自身の必要な条件に合わせてオーダーメードされた個人的な投資プランを作ることができる。例えば、企業は、株主が選考する消費の時間パターンと一致する一連のキャッシュフローを得るために投資政策を調整する必要はない。株主が良好に機能している、競争的な資本市場への自由なアクセスを有していれば、時間的に前にも後にも自分で完璧に資金をシフトできる。実際、彼らの将来にわたる消費計画を制約しているのは、個人的な富(あるいは、それがないこと)と資金の貸し借りができる金利の2点のみである。財務担当者は金利に影響を与えることができないが、株主の富を増やすことはできる。そうするための方法は、正の純現在価値を有する資産に投資することである。

経営者が会社の価値に十分な注意を払うことを確保することに役立ついくつかの制度上の取り決めがある。

●経営者は、株主が利益を得るなら自らのペイオフも大きくなるが、そうでなければ無価値となるストックオプションのようなインセンティブの仕組みによって動機付けられている。

●経営者の行動は、取締役会に監視される

●怠惰な経営者は、よりエネルギッシュな経営者によって追放される可能性が高い。この競争は会社の中で生ずるかもしれないが、業績の悪い会社は乗っ取られる可能性も高い。そうした乗っ取りの際には、概して新たな経営陣が任命されることとなる。

最近の投資信託業界における出来事からは、倫理的な行動の大切さが強調される。経営者は、従業員、供給者、および顧客に対しても公正に行動するはずである。それは、、部分的にはそれが共通の利益となると知っているからであり、また、部分的には会社の最も貴重な資産は評判であるということを知っているからである。もちろん、倫理上の問題は金融の分野においても生じる。無節操な経営者がその地位を悪用するたびに、我々皆のお互いに対する信頼は多少なりとも低下してしまい、経済と社会全体が傷つく。

フランス、ドイツ、それに日本などの国では、経営者は株主だけを重視するというよりも、すべての関係者の利益を重視している。しかし、資本市場のグローバル化に伴い、株主利益の追求への圧力は強まっている。

財務担当者は財務上の目的を達成するように求められている。企業は、財務上の目的と他の利害関係者の目的とのバランスを取ろうとするかもしれない。しかし、財務上の目的が何であるかを知らない限り、合理的な調整はできない。このブログでは、株主価値の最大化を企業にとっての主要な財務上の目的と考える。
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