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会社は株主のためだけではなく、すべての利害関係者のために経営されるべきだといわれることも多い。利害関係者には、従業員や顧客、供給業者や会社のオフィスや工場が所在する地域社会が含まれる。

企業が何を目指すべきかという点についての見方は、国によって大きく異なっている。米国やイギリス、および「アングロ・サクソン」経済では、株主の価値を最大化するという考え方は、企業の財務上の主たる目的として広く受け入れられている。他の国々では、労働者の利益がより強調されている。例えば、ドイツでは、大企業の従業員には会社の監査役の半数までを選ぶ権利がある。その結果、彼らが企業のガバナンスに重要な役割を果たし、株主に対する関心は小さい。日本では、経営者は、株主の利益を従業員や顧客の利益と同等に扱うか、それより下に位置づけることさえある。トヨタの例では、彼らの経営理念は「人や社会、地球環境、そして世界経済との調和を大切にした事業活動の展開により、長期安定的な成長を実現し、・・・お客さま、株主、従業員、取引先の方々などと、成長を分かち合いたいと考えています」というものだ。

5カ国の大企業の経営幹部にインタビューした結果がまとめられている。英米の経営幹部は、株主がまず重視されるべきであると回答しているのに対し、日本、ドイツ、フランスの経営幹部は、企業はすべての利害関係者のために運営されるべきであると考えている。雇用の確保と配当の間のトレードオフについての質問では、ほぼ全員の日本の経営幹部と大部分のドイツ及びフランスの経営幹部が雇用の確保がまず重視されるべきであるとしている。対照的に、多くの英米の経営陣は、配当を重視すべきであると考えている。

資本市場のグローバル化に伴い、株主のための富の創造を最も重要な目的とすべきであるという圧力がどこの国においても強くなっている。ダイムラー・クライスラーやドイツ銀行を含む多くのドイツ企業がNY証券取引所に上場し、最も重要な目的は株主のための富の創造であると発表した。日本でのこうした向への動きはより小さい。例えば、トヨタの会長は株主利益を追求することは無責任かもしれないと示唆した。一方、トヨタの株式時価総額はゼネラルモーターズやフォードの時価総額よりずっと大きい。ゼネラルモーターズやフォードがいずれもトヨタより多くの自動車を作っているにもかかわらずだ。したがって、おそらく現実には、これらの目的の間にはさほどの対立はないのかもしれない。
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